私が屋上から飛び降りたあと、最初に見つけたのは濱田先生だったらしい。そしてやっと見て見ぬふりをしていたいじめの存在を認めて、私や私の両親に何度も頭を下げにきてくれた。
「そのアンケートは今書かなくていい。各自家へと持ち帰ってじっくりと向き合ってほしい」
あの世界で起きたことと同じことが起きている。
けれど、アンケートの項目は細かく増やされてあり、私が先生に言った〝自宅に一旦持ち帰らせて後日提出させたほうがよかった〟という部分もちゃんと修正されていた。
「アンケートは何日経っても構わないから必ず各々がしてきたこと。見ていたものを偽らずに書いてください」
あの濱田先生が涙を流して訴えている。その想いが伝わったのか、誰ひとりとして茶化したり、野次を飛ばす人はいなかった。
「なにもしなかった先生も加害者です。みんなで反省して話し合って、ここからもう一度始めよう」
私は泣かない。だってこれはあの世界で私が先生に言ったことだから。
――『いじめは絶対許してはダメです。なので、これからもちゃんと生徒のことを見続けてください』
ここは私の理想の世界ではない。
でも私のことを取り巻いていた人たちも、確実に変わり始めていた。



