翌朝。一緒に目覚めた私たちの寝癖が同じ形をしていた。
「……ぷ、あかり、ヤバすぎ!」
「美保だってヤバいよ」
大切な人と迎える朝がこんなに嬉しいなんて、私は美保から何回目の初めてをもらうんだろう。
「ねえ、あかり。昨日は赤裸々にいろんなことを語ったけど、まだ聞いてないことがあったよ」
「なに?」
「蒼井のこと、どう思ってるの?」
「え、え?」
「事件の時も蒼井を必死で庇ってたし好きなのかなって」
「す、好きじゃないよ!」
否定したものの、声が恥ずかしいくらいに裏返った。
「本当に?」
「う、うん」
「本当に本当?」
私は考えるように黙り込む。
私は蒼井に何度も救われた。もしこの世界に蒼井がいなかったら、どうなっていたんだろうと思うくらい彼は私の道しるべだった。
彼のことは大切だし特別だ。それは認める。
でもそれが恋なのかどうかは、自分でも本当にわからないのだ。
「じゃあ、もしこれから好きだって自覚する時がきたら、それは絶対に否定しちゃダメ。約束だよ」
「うん、わかった」
私たちの小指が未来に向かって、ゆっくりと重なった。



