教室の空気がピリッとしたのを感じた。これは前にも感じたことがある。
いじめのリーダーに逆らわないことが暗黙のルールであり、それを破ったらどうなるかみんなが知っている。
「は?」
沙織の強い口調が私に飛んできた。
「ってかこの前の事件の時もそうだけど、あかりはいつから正義のヒーローみたいなキャラになったの? もしかしてそれがカッコいいとか思っちゃってる?」
「………」
「最近浮いてることも多かったし、なんでかなって思ってたけど、もしかして、こそこそと橋本と仲良くしてたってわけ? 私が橋本のことが嫌いなの知ってるよね? ってか友達とか言わないよね?」
「友達だよ」
「まじで言ってんの? 超ウケる! もしかしてあかりも暗い系なの?」
沙織の敵になりたくないから、周りの人たちも同じように笑っていた。
「あかりって下ネタになるとすぐに消えるしノリ悪いなーって前から思ってたんだよね。よかったじゃん橋本。お友達ができてさ」
橋本さんはもちろんなにも言えずに、私に悪いと思ったのかずっと下を向いていた。



