私も、一段上に上って、深春の左手を握った。
「ニュースになればいいね。」って、私が言って、深春がクスクスと笑った。
深春の目をそっと見つめた。
盗み見るようにしたつもりだったのに、目が合ってしまったから、私は今更恥ずかしくなって、目を逸らしてしまった。
深春の瞳に映る最期、
私の瞳に深春を映せる最期だったのに。
“一生、死んでもずっと好きだよ。”
いつだったか、深春に誓ったその言葉。
その約束を、きちんと果たしたつもり。
ううん。
強制なんてされなくても、私は一生、…死んだ後のことは分からないなんて言われたって、きっと死んでも来世もずっと、深春が世界で一番、この世でもあの世でも一番、好きだよ。
「ニュースになればいいね。」
そう言った私に、深春は大好きな顔で笑ってくれた。
私達が産まれる前はきっと、もっと生きにくくて、もっともっと、深春に好きだなんて言いにくい世の中だった。
今はずいぶん、世界の認識は変わったんだよって言われたって、それでも友達も家族も誰も、私達の恋を“当たり前”みたいには受け入れてくれないだろう。
それが“姉妹だった”なんて知られれば尚更だ。
世間の目に晒せれて、きっと一緒には居られない。
だから私達のこの死がニュースになればいい。
その時は、どうか私と深春の“最期”の写真も大々的に放映して欲しい。
しっかりと手を繋ぎあって、寄り添い合う、私達の最期を。
深春がセーラー服の赤いリボンを、細くて綺麗な指でスッと解いた。
私達はギュッと右手と左手を繋ぎ合った。
空いた右手で、深春は私達の手首に腕時計を巻くようにして赤いリボンを添わせた。
私も、空いた左手でそれを手伝う。
端と端を一緒に持って、最後にギュッと固く結んだ。
深春の吐息を感じた。
もう一度、深春を見たら、やっぱりまた目が合って、あぁ、もう一度、深春の瞳に映れて良かったって思った。
来世は胸を張って好きだって言える形で出会おうね、なんて思わない。
来世も絶対に私は私で、深春に出会いたい。
それだけが、私の最期の救いだ。
深春。
ずっとずっと、君だけが好きだよ。
誰になんて言われたって。
深春が右足をスッと宙に浮かせた。
私も左足を、同じようにした。
これが最後だからと、私達は何日か前に上靴を綺麗に洗った。
まだ白さの残る綺麗なままの上靴が可笑しくてたまらない。
私達は笑い合って、そっと口付けた。
冷たい、深春のキスの温度。
バイバイ、深春。
またね。
「ニュースになればいいね。」って、私が言って、深春がクスクスと笑った。
深春の目をそっと見つめた。
盗み見るようにしたつもりだったのに、目が合ってしまったから、私は今更恥ずかしくなって、目を逸らしてしまった。
深春の瞳に映る最期、
私の瞳に深春を映せる最期だったのに。
“一生、死んでもずっと好きだよ。”
いつだったか、深春に誓ったその言葉。
その約束を、きちんと果たしたつもり。
ううん。
強制なんてされなくても、私は一生、…死んだ後のことは分からないなんて言われたって、きっと死んでも来世もずっと、深春が世界で一番、この世でもあの世でも一番、好きだよ。
「ニュースになればいいね。」
そう言った私に、深春は大好きな顔で笑ってくれた。
私達が産まれる前はきっと、もっと生きにくくて、もっともっと、深春に好きだなんて言いにくい世の中だった。
今はずいぶん、世界の認識は変わったんだよって言われたって、それでも友達も家族も誰も、私達の恋を“当たり前”みたいには受け入れてくれないだろう。
それが“姉妹だった”なんて知られれば尚更だ。
世間の目に晒せれて、きっと一緒には居られない。
だから私達のこの死がニュースになればいい。
その時は、どうか私と深春の“最期”の写真も大々的に放映して欲しい。
しっかりと手を繋ぎあって、寄り添い合う、私達の最期を。
深春がセーラー服の赤いリボンを、細くて綺麗な指でスッと解いた。
私達はギュッと右手と左手を繋ぎ合った。
空いた右手で、深春は私達の手首に腕時計を巻くようにして赤いリボンを添わせた。
私も、空いた左手でそれを手伝う。
端と端を一緒に持って、最後にギュッと固く結んだ。
深春の吐息を感じた。
もう一度、深春を見たら、やっぱりまた目が合って、あぁ、もう一度、深春の瞳に映れて良かったって思った。
来世は胸を張って好きだって言える形で出会おうね、なんて思わない。
来世も絶対に私は私で、深春に出会いたい。
それだけが、私の最期の救いだ。
深春。
ずっとずっと、君だけが好きだよ。
誰になんて言われたって。
深春が右足をスッと宙に浮かせた。
私も左足を、同じようにした。
これが最後だからと、私達は何日か前に上靴を綺麗に洗った。
まだ白さの残る綺麗なままの上靴が可笑しくてたまらない。
私達は笑い合って、そっと口付けた。
冷たい、深春のキスの温度。
バイバイ、深春。
またね。
