このままずっと・・・・
賢也を疑って、不安になって・・・
夜も・・・できなくなったら、ますます賢也は・・・・

手には橘有佳(たちばな ゆか)と書かれた預金通帳がある。
結婚前に預金していたもので旧姓のままになっている。





「口座なんだけど、全部を名前変更する必要は無いんじゃ無い?結婚前に貯めたお金は共有財産じゃないんだから何かあったときにそのまま保管しておいた方がいいよ」

結婚するときに友人に言われた言葉だ、彼女の両親は離婚していて母親は父親からの慰謝料の支払いが滞って離婚した後の生活に困ったそうだ。

披露宴をしていないし、独身の時は叔父の会社だったこともあり誰かに口説かれると言うことも無かった、もちろん合コンなどもしないし、分不相応な買い物もしなかったので気がつくと結構な預金額になっていた。

結婚するときはこんなことになるとは思っていなかったから、彼女の話をきいてもピンとこなかったが、賢也の浮気調査に賢也の給料を使うわけにもいかず、言われたとおり旧姓の預金をとっておいてよかったと彼女に感謝したいと思った。

ダークグレーとは言われたけど、ブラックとは言われていない。
もしかすると本当に残業で一緒に働いているのが


あの・・・下品な香水を付けている人なのかも知れない・・



松崎さんの言葉を思い出す
「ワイシャツにそんなに分るほどの移り香って、浮気相手がわざと匂わせてる気がするよ。旦那さんは会ってすぐは匂いに気付くかも知れないけど、ずっと至近距離にいれば匂いになれて気にならなくなるから」



そう、仕事中だって至近距離になることはある・・・・



気がつくと賢也の帰宅時間が近づいていた





慌てて夕食をつくった。