「有佳、今日も友達のところ?」

有佳は美しく微笑みながら「ええ行ってきます」と楽しそうに答える。
体調が悪いと言っていたけど、大丈夫なんだろうか?

「ところで体調はどう?」
楽しそうに見えたとしても、すこしやつれて見えるのは錯覚ではないだろう、その原因はきっとオレだ。
申し訳なさと愛おしさに肩を抱こうとしたらすり抜けられてしまった。

「明日、病院にいってくるから」

「そ・・・そうだね、体調が悪いなら今日はあまりおそくならないようにね」

もしかしたら男と会っているんじゃ無いかという気持ちからすこし意地悪な言い方になる。

今まで休日はいつも二人で過ごしていた、大切な時間だったのに
有佳に限って浮気なんかしないと思いながらも、自分にやましい気持ちがあるため疑ってしまう。






夕方帰宅した有佳の様子がなんとなくおかしかった。
ため息ばかりで、心ここにあらずで一体誰と会っていたんだろう。

不安と疑惑が湧き上がる


オレがしているようなことを有佳もしているんだろうか・・・
だから、夜に誘ってきたのか




月曜日の朝はいつも通りだったが夜になると体調が悪いと言って“また”書斎に籠もってしまった。
本当に体調が悪いのだろうか
一つ疑惑があるとすべてが疑わしくなる

そういえば書斎に入ることがなくなったかもしれない、特に有佳が書斎で寝るようになってからなんとなく入ってはいけないような気がしたから。

たしか、ソファベッドを購入したと言っていた。どんな感じのものか見ていない。
こっそりとドアノブに手を掛ける。
なんとなくドアノブに違和感はあったが、普段触らない所だからそう感じるんだろう

ゆっくりとドアを開けると本棚やパソコンデスクが置かれていておくにソファベッドが置かれていた。

すっかり有佳の“部屋”になってる。
もう二度とあのベッドで寝る気が無いのかも知れない。
やっぱり、他に男がいるのかも

そんなのは嫌だ、有佳はオレのものだ。

有佳の髪を撫でる。
こんな風に触れたのはいつだったろう。

「うっ・・・」
有佳の顔がゆがむ

「本当に大丈夫?」
口元を押さえて目をきつく瞑る様子は本当に具合が悪そうだった。
「ごめんなさい、一人にして」

こんなに体調が悪そうなのにオレは何を考えていたんだ。
「そっか、ごめんな」

掛け布団をかけ直して部屋を出た。

有佳を疑うなんて馬鹿げている。