帰宅すると有佳はとても機嫌が良かった。
今までもオレを疑いつつも嫌な態度は取ったりしないが、明らかに今日の有佳は違っている。

「有佳、なにか楽しいことがあったの?」

「え?」
なんとなく楽しそうな雰囲気で軽い気持ちで聞いたことに過剰な反応に見えた。

「なんとなく楽しそうだから」

「そうかな、久しぶりに学生時代の友人から連絡があったからかも」

学生時代の友人?
もしかして男なのか?
なんとなく気分が悪い、有佳なら学生時代に言い寄ってくる男がいただろう、そんな奴らと会わせたくない。
もうその話をしたくなくて話題を変えた。

「体調はどう?」

「うん・・・、少しはいいかな」

ここのところ寝室も別になっている、有佳とデキなくてもせめて抱きしめて眠りたい。
「じゃあ、今日は一緒に寝ないか」
有佳のふわふわな髪をさわりながらやっぱり今夜は有佳を抱きたい、いっそこのままソファでいてしまおうかと思っていると

「今週も金曜日は残業?」
思いがけない言葉に、硬直してしまった。

「うん、ごめんね。でももう残業は無くなると思うから」

有佳はまた書斎に入ってしまった。


やはり有佳は金曜日の残業に疑惑を持っている。