多分、有佳は何かを感じているのかも知れない。

気のせいだと思って欲しい、実際オレが好きなのは愛しているのは有佳だけなのだから。

朝は必ず玄関まで来て見送ってくれる、綺麗で性格も良くて料理も家事もきちんとできて、最高の妻だ。

「行ってくる」

無性に有佳にキスをしたくなって顔を近づけると、避けられてしまった。

「ごめんなさい、今までこんなことしてなかったでしょ、びっくりしちゃって」

「そうだよね、ごめん」
「でも、有佳がかわいいからつい、じゃあ行ってくる」

警戒させてしまった、やましい気持ちもあるが、キスをしたいと思った事も確かだ。

最近は大森さんとしかキスをしていない、でもそれは愛情からのではなく情事の一連の作業の一つとしてのものだ。

今度の金曜日、それで本当に終わりにしよう。
今はオレに疑惑を持っているかもしれないが、終わりにしてもう二度と浮気をしなければ今までの事は無かったことにできるかもしれない、有佳を失うのだけは嫌だ。