彼女のマンションを出て重い足取りで妻の待つ我が家に帰る。

たしかに、はじめは彼女が強引だったから仕方なくだった。
口でされる行為が気持ちよくて、お互い遊びと割り切ればとも思っていたが今は有佳への罪悪感に今は苦痛になっている。
彼女との関係を断ち切りろうと思っても、この関係を盾にされ別れる事ができなくなってしまった、どうすればいいんだろう。


家に入るとまずリビングに鞄をおいてスーツを脱いでからバスルームに向う。
身体中から彼女の匂いと痕跡を消してからでは無いと有佳のいるベッドに入る気になれず、丹念に身体を洗ってから二人のベッドルームに向う。
柔軟剤の効いた肌着を身につけると眠って居る有佳に「おやすみ」とささやいてベッドに入った。

彼女は恋人とはどうなっているんだろう、もうやめたい。

くるしい・・・

「賢也起きてる?」

起こしてしまったんだろうか、彼女を抱いたあとに有佳と言葉を交わすことが苦痛で起こさない様にしていたのに。

「どうしたの、眠れない?」

「うん・・・その・・・したい」

「え?!」
いつもオレから求めていて、それをかわいく受け止めてくれていた。
有佳からさそってくるのは初めてだった。
それは凄く嬉しい。
しかし、今日は・・・無理だ。
あの女を抱いた手で有佳を抱くのは有佳を穢してしまうような気がしてできなかった。

「えっと・・・ごめん、残業で疲れていて」
最低だ「ごめん」としか言葉がでてこない

「うううん、そうだよね残業してきて疲れているのに。すこしテレビを見てから寝るね」
そう言ってベッドルームを出て行く有佳を止めることができなかった。

有佳とのセックスに不満は無い、むしろ恥ずかしそうにそれでいて感じている姿は可愛くて愛おしい。


今、一人でリビングにいる有佳を思うと無性に自分に腹が立つ。

もうやめなければ・・・