「片桐くんが一人で残業してるっていうから、差し入れを持って来ちゃった」

声のする方を見ると、あの日以来気まずくて避けていた大森さんだった。
「でも、もうすぐ終わるので大丈夫です」

関わりたくない一心でパソコンに向い作業を急ぐが、オレの態度を気にすること無く近づいてきた。

「差し入れ」と言うと、隣の席の椅子に座りバッグから栄養ドリンクを取り出してデスクの上に置いた。

ちらりと目線だけドリンクを確認するとパソコンから目を離さずに「ありがとうございます、あとでいただきます」と答えたが、大森さんはグッと近づいてくると「もう一つあるの」といってバックの中身を見せた。

そこには、強壮剤とコンドームが入っていて前傾姿勢になっている彼女の胸元はボタンが外され乳輪まではっきりと見えた。

「何をしてるんですか、仕事をしないといけないんで帰ってもらえますか?」

「ふふふ、こんな所を見られたら誤解されちゃうかも」

「だから、誰かが来る前に帰ってください」

なんとか追い返そうと思っていた矢先にドアをノックする音が聞えた。
大森さんは自分でボタンを外しているとはいえ、今はいってきた人間には分らないだろう。それ以前にオレは既婚者だ。

“まずい”

と思ったら、大森さんが俺のデスクの下に潜り込んできた。
いや、これもダメだろうと思っているとドアが開かれ、制服姿の男性が入ってきた。

「まだいらっしゃったんですね、帰宅の際は電気と戸締まりをお願いします」

警備員と話をしている間、大森さんはオレのモノを舌で味わっていた。

神経がすべて一部に集まりつつある中かろうじて「わかりました」と返事をすることができた。

結局、彼女の“差し入れ”を受け入れた。