出勤すると部内がざわついていた。

「何かあったんですか?課長」

「鈴木が昨夜事故で入院してしまって、鈴木の仕事を割り振らないといけないんだ。悪いが片桐にも負担してもらう」

「それはいいですが、鈴木さんの容態はどうなんですか?」

「意識はあるが足を骨折しているからしばらくは安静らしい」

「それはよかったです」

「う~ん、いいんだかどうだか・・・片桐の分はメールで指示してあるからよろしく」
そう言うと課長は他の社員に指示を出し始めた。




普段は外で食べているが振り分けられた仕事の量が思った以上に多く、コンビニでサンドウィッチや栄養補助食品を買い込み有佳に連絡をした。
「同じ部署の人が事故って、そいつの仕事を引き継がなくちゃいけないから今夜は遅くなるよ」

「わかった、あまり無理しないでね」


昼休みも返上したが、他人の仕事でもあるため理解をすることから始めなくてはいけない。

「てか、鈴木って仕事が雑だな・・・」

「「だよな」」
鈴木の仕事の分担をしている同僚で友人の田中と斉藤が合唱のように答えた。

「みんなでって言って結局3人かよ。オレこの後デートなんだよな~」と仕事はできるがチャラ男の斉藤がボヤくと
「彼女ができたんだ?」と田中がツッコむ

「う~ん、エッチなお友達の一人ね」

「相変わらずだな、いつか刺されるぞ」田中は呆れ気味に言うとコーヒーを一気に喉に流し込んだ。

「腹上死なら本望だ!って、片桐は奥さん一筋だもんな~今度会わせろよ」

「お前になんか嫌だよ」とパソコン画面から目を上げると二人はすっかり帰り支度だった。
「え?もう終わったのか?」

「まさか、俺らは明日、休日出勤することにしたんだよ」

「なるほど、オレは土日は妻とゆっくりしたいから今夜頑張るよ」

「「じゃあな」」と言って二人が出て行くのを見届けると、一度伸びをしてからパソコンに向った。

結局一人で残っていると、電話もなく雑務が無い為仕事がサクサクと進み月曜日からは通常業務+αくらいで作業ができそうだ。

「あと一息」
首と肩を回しているとフロアに誰かが入って来た。