家に帰るのが苦痛だ。



今は探偵事務所のほうが居心地がいい、もっとすんなり離婚できると思っていたのに。



「はぁ」ため息をついてから、深呼吸をしてドアを開ける。

賢也は家にいるようだ、彼女の部屋にでもいけばいいのに。
大体において彼女の部屋にまで行ってるくせに、私を好きだとか言って離婚したくない理由は本当は会社での立場とかそう言うことなのかも知れない。
それって、私のことを考えてくれていないってことだよね。
そう思うと無性に腹が立ってきた。

ダイニングに近づくとカレーのいい匂いがしてくる。

「お帰り有佳、カレーを作って見たんだけど」

「おいしそうな香り、着替えてくるね」


今まで、料理なんてしたことなかったのに・・・・

でも

結婚してはじめて食べた賢也のカレーは案外おいしかった。