近づきたくなくて、ベッドの端で眠った。


いつもの月曜、朝食を二人で食べて玄関まで見送る。

賢也が「行ってくるよ」と言って手を伸ばしてきたが、つい身体を引いてしまった。

触られたくない

苦笑いをしながら賢也は出て行った。


賢也と出会ったのは、叔父の経営する印刷所の事務をしていたときだった。

販促パンフレットの打ち合わせで事務所に来たことがきっかけで、ネットを通しての注文ももちろん可能だったが、なにか会社でミスがあったらしく即日に必要だと言うことだった。

なんとか、間に合うことができて、その後お礼に来た。
超急ぎとはいえ仕事だから気にすることは無いのに、自分のミスで大きな損失が出るところを助けられたと言っていた。その姿がとてもすがすがしくて素敵だった。

その後も、冊子やチラシ、名刺などを注文してくれるようになり、さらにはお昼を誘ってくれたり、ディナーに誘ってくれたりした。

ずっと女子校でクラスメイトや友人のように合コンとかにも参加しなかったため、男性にはまったく免疫がなく、さらに叔父の経営する印刷所に就職したことで出会いの機会は全く無いに等しかったが特に気にしてはいなかった。

いつかはだれかと結婚するだろうな

と、漠然と考えていたていどだったが、賢也に何度も食事やデートに誘われて交際を申し込まれた時に、この人ならと言う気持ちになり、その後、半年もしないうちにプロポーズをされた。

披露宴は行わず身内だけで結婚式をした。
お互い派手なことを好まなかったからそれでよかった。


賢也の両親にもかわいがってもらっていて幸せな日々を送っていると思ったのに・・・



家に居ても嫌なことしか考えないので、買い物に出ることにした。






今夜は何にしよう・・・