もう一つの音声ファイルを再生した

「なら、わたしもいいますけど、いったいいつになったら離婚するんですか?賢也くんがかわいそう」

「賢也がかわいそうとは?」

「性の不一致も十分な離婚の原因になるとおもいません?マグロ女じゃ賢也くんがつまらないって、だからわたしが慰めてあげてるの。それに、賢也くんもわたしと一緒にいたいのにマグロ女が離婚に応じてくれないって嘆いているのよ。かわいそうでしょ」

「マグロ女ってだれか分ってるわよね?お・く・さ・ま」
「だから、さっさと別れなさいよ」

「慰めるとはどういうこと?相談にのっていただいているということですか?」

「そんなだから、つまらないって言われるのよ。あなたとのセックスがつまらないからわたしとセックスしてるの。すごく気持ちいいって。妻とは味わえないって、わたしの身体がたまらないって、分った?」

「それは、賢也と身体の関係があり不倫をしているということを認めるんですね?」

「不倫なんて変な言いがかりを付けないで、わたしと賢也くんは愛し合ってるの。恋人同士だけど、たまたま賢也くんが結婚していただけのこと。だから、さっさと賢也くんを自由にしてあげて」



「違う,違うんだ・・・ちが・・」

「私はマグロ女ってヤツなんですね、でも私は賢也が初めての人だった。それは賢也も知っているはず、私はどうすればよかった?」

賢也はただただ俯いて頷いていた。

「そんなに、大森恵美とのセックスは気持ちが良かった?それなら私に遠慮することはないです。子供だって大森恵美とつくればいい」

「好奇心だったんだ、大森さんに誘われて酒の勢いも手伝って、勢いでホテルに行ってしまった。そのあとは、断っても奥さんにバラすと言われてそれが怖くてズルズルと続けてしまったんだ。大森さんに好意はもっていないんだ」

「最低」

私のつぶやきにさらに頭が下がっていく

そこに賢也のスマホが着信を知らせる。
賢也は一瞬画面を見ると画面から目をそらし、無視をしている。