帰り道で郵便局に寄ると書留書類を二通発送した。
明日には到着する、うまく受け取れるかしら・・・




賢也と一緒に食べるための夕食を準備する。
この行為はあと何回で終わるんだろう。

坂田さんはあの事実をどうするんだろう?あの報告書を引き出しにしまって、事実も心に締まってしまうんだろうか?それとも問い詰めて愛人と別れて欲しいと懇願するんだろうか・・・
私なら 

そんな夫は


いらない。

松崎さんの「有佳ちゃんは特別」とはどういう意味だろう・・・

賢也以外に誰かを好きになることなんて無いと思った。
松崎さんを思い出すと胸の奥が暖かくなる・・・
この感情に名前を付けていいだろうか?


「有佳大丈夫?無理をしなくていいよ」

ぼんやりとしていたら賢也が帰宅していた。

「あっ、ごめんなさい。ちょっとぼんやりしていて」

「ほら、座って」といって椅子をひいてくれた。

「あとはオレがやるから、といってもどうしていいかわからないからそこで座って指示をしてくれる?」

浮気をしていると妻の行動が気になるのかな?
いまさらそんなことしても、すべてを知っている私にそんなことしても

無駄だよ

賢也



「じゃあ、お願いしようかな。あとはお味噌汁を温めるのと味付けは終わっているからお肉を焼くだけ」

賢也は満面の笑みで「まかせとけ!」と言って腕まくりをして肉を焼き始めた。

「ところで病院へ行ってみた?」

「うん、様子を見ようっていわれた」

「前に胃カメラでの診察は問題が無いって言われたんだよね?」

「うん」

「だったら、その・・・・産婦人科とか行ってみたら?」

「婦人科?」

「うん、昨日田中と斉藤に言われたんだけど、もしかしたらおめでたじゃないかって」


「そう言われてみると・・・明日さっそく行ってみるね」

「そうだよ、今日は夕食を食べたらすぐに休むといいよ。あとはやっておくから」

「やさしいね。ありがとう」

「愛する妻の為だから」



嘘つき