テレビにはお笑い芸人がひな壇に登ってトークを繰り広げ、笑いが起きている。
そんな画面をぼんやりと眺める。

賢也はなにも言ってこない。
疲れたことをしてきたから、本当に眠いんだろう。
私がどんな気持ちでいるかなんてわからないのかも知れない。

途中ウトウトと記憶がなかったが気がつくと6時だった。

もう中途半端な時間だし、朝食を作ろう
結局、賢也は声を掛けてくれなかった。

それどころかよく眠れたってことだよね・・・

「有佳、おはよう」

「おはよう、食事できてるよ」

「今日もうまそうだね、顔を洗ってくるよ」

休日の朝、賢也はいつものように優しい。

ソファに二人並んで映画を見ていると「これ、有佳が見たかったやつだよね」と言って賢也は肩に腕を回して顔を近づけてきたがそれを避けるように「飲み物を持ってくるね」と言ってソファを立った。

「あっ、うん。じゃあコーヒーで」

「分った」と答えて逃げるようにキッチンへ向かった。

その後は少し距離をおいて座った。
昨夜のことがしこりのように胸に残っている。

その日の夜「有佳」とささやきながら背後から抱きしめられた。
これが昨日なら良かったのに・・・・



「ごめん、ちょっと」そう言って書斎に向かった。