「吐き気?」

「そうなんです、最近ふとしたときに吐き気がするんです」

会計ソフトに領収証を打ち込んでいる所に松崎がコーヒーを淹れて持ってきてくれた。
「言っていただければ私がやりましたのに」

「別に、手が空いた方が淹れればいいよ、ところで検査とかしたの?」

「胃カメラは胃潰瘍になる手前だって言われて薬の処方を受けただけなんですが、まだ吐き気は続いているんです」

「それ、別の病院も行ったほうがいいよ、セカンドオピニオン」

「そうですよね」

「そういえば、今週の金曜日も旦那さんは“残業”?」

「そのようです」

松崎さんがのぞき込んで「すこし吹っ切れてきた?」と言われて、賢也が不倫していることがなんとなく他人事の様に感じるようになってきた。

「それなら、ミッションをこなせるかも」

「今なら何でもできそうな気がする、ここで働かせてくださってありがとうございます」

「いやいや、実際こっちも困っていたし、片桐さん・・・って、有佳ちゃんて呼んでいい?」

「はい」
なんだか照れちゃうけどそれもいいかも

「事務も完璧だしなにしろ事務所が綺麗だ」

「役に立ててるならよかった。ところでミッションとは?」






ミッションの説明を受けた後、まだ受付している診療所に寄ってから帰った。