「え?大丈夫って?」

「片桐さんは、この結果を知った上でこの先の生活をどうするんですか?この結果を突きつけて不倫をやめてもらう?」



この先・・・・



膝に載せた手をギュッと握る



「無理・・・・賢也と暮らしていくのは無理です」




賢也が私とは正反対の女性を選んでいることが何よりも耐えられなかった。
今回この二人が別れたとしても、賢也はまた“こういう”女性を選ぶかも知れない。その不安をずっと持ち続けて暮らしていくのは酷すぎる。






「別れたい?」

別れる・・・・
暮らせないなら別れるしかない・・・

「はい」

「それなら、もう少し調査をして逃げ場を無くして慰謝料を双方からとりましょう」

「慰謝料?」

「ええ、片桐さんは慰謝料を二人からもらう権利がありますよ」
「タダとは言いませんが、オプションとして10万調査費に上乗せしていただければ力になります」

そっか・・・
一緒になられないなら離婚するしかないし、慰謝料とか請求できるんだ・・・
でも、離婚するとなると
「仕事さがさなきゃ・・・」

「仕事探してるんですか?」

「あっ、すみません声に出てました?」
恥ずかしい、今までも思っていたことを口に出していたことがあったんだろうか、気を付けなきゃ

松崎さんはぷっと噴き出して盛大にねと笑ったあと
「ワードとエクセルは使える?あと、会計ソフト」

急に言われて何事かと思ったが、2年前までは事務も経理も雑用もしていた。

「使えます。会計ソフトもちょっと使ってみれば大丈夫だと思います」

松崎は口角を上げて
「丁度よかった、アシスタントがやめてしまってちょっと困ってたんだよ」

「やります!でも・・・時間が」

「しばらくは試用期間として10時から3時まででもいいんだけど、落ち着いたら時間を延ばしてくれればいい」

「それなら、是非おねがいします」

「それなら、オプションは社割でいいよ」


「社割・・・オプションって何をするんですか?」

「片桐さんにも頑張ってもらわないといけないんだけど、やれるよね?」
「リセットはやる気になればできる。ほんのちょっと勇気をだすだけで有利にリセットできるんだ。君が一歩を踏み出すための軍資金をしっかり取ろう」