午後からは残業時間を短縮するために、急いで仕事をこなした。


ランチを食べて田中と共にデスクに戻る時
「大森さんは確かにすごいくせ者だったと思う、だからお前は交通事故に巻き込まれたという気持ちもあるかも知れないが、奥さんにとっては“裏切られた”という思いしか無いとおもう。それなのに、お前を助けてくれたんだろ、何度も言うけどさ大切にしろよ」


田中のいうことは正しい。

どこかに大森さんのせいにしていた。

そうじゃない、オレのせいだ。

いつものようにインターフォンを一回だけ押してから解錠する。

玄関には男性用の靴が置いてあった。


ダイニングテーブルには一人分の夕食が用意してあったからレンジで温める。
リビングには誰もいないが、男女の艶めかしい声が聞えてくる。

テーブルに座り温めた夕食を食べようと醤油差しに手をのばしたところに蓋をしたガラスの小瓶が置いてあった。

ガラス瓶の底にはオレの薬指にあるゴールドとプラチナのツイストリングの対になっているリングが光っていた。



今は、他の男の腕の中にいるとしても


それでもオレは有佳を愛してる