片付けものをしてから、リビングのソファに座って見るでもなしにテレビの液晶画面を見つめていた。

「このドラマ、いつも見てたっけ?」

「え?」
賢也に唐突に話しかけられて何のことか分らなかった。

「いや、このドラマいつもみてたのかな~って」

テレビ画面を見つめていても心は他のことに捕らわれていたため連続ドラマが流れていることにすら気付いていなかった。

「あっ、ごめんなさい。ちょっとぼんやりしてしまって、好きな番組を見ていいよ」



「いや」
そういうと、抱きしめてきて顔を近づけてきた。

どうしよう・・

きもちわるい・・・
唇が触れる寸前に手で賢也の身体をおさえ「私、コーヒーを飲むけど何か飲む?」と、とっさにすり抜けてキッチンに向かった。


賢也はしばらく固まっていた。


衝動的にはねのけてしまった、変に思ったかも知れないが賢也が近づいて来たとき、胸のあたりがムカムカとして気持ち悪くなった。

「ごめんね、やっぱりちょっと気持ち悪いから先に寝るね」
コーヒーを淹れるためにキッチンに向かったが、早く横になりたかった。

「大丈夫?なにかして欲しいことある?」

「平気、ただ横になりたい」
そう言ってベッドに入ると、賢也もベッドルームに入ってきた。

「本当に大丈夫?」そういって、髪を撫でてくれたが、吐き気がしてきて辛かった。






賢也はちゃんと私を心配してくれている・・・