夕食の時に、事の顛末を有佳に伝えた。

「オレだけ処分が無かったのが、なんとなく引っかかるんだ」

有佳はニッコリと微笑むと
「奥様から電話を頂いて私に免じてあなたは許してあげるって言っていたわ」

「そうか、有佳のおかげなんだな、たくさん傷つけてしまったのに本当にすまない」

「いいのよ、戸籍上は夫婦なんだし、夫婦である限りは私ができることならサポートするよ」

ずっとオレが養って守っていたと思っていたのに、有佳はすっかり自立していた。
「ありがとう、最高の妻だよ」




ピンポーン




チャイムがなったので出ようとすると有佳が自分で行くといって玄関に向った。



「朗(あきら)さんいらっしゃい」

「ちょっと遅くなって悪いな」

「そんなことないよ」



客?誰だ?

有佳と一緒にリビングに入ってきたのは背の高い精悍な顔つきの男性だった。
「紹介するね、松崎朗さん」

有佳の紹介を受けた松崎朗という男性はおもむろに名刺を取り出して渡してきた。

「探偵事務所をやってます松崎です。有佳ちゃんにはいつもお世話になってます」

名刺を見ると松崎探偵事務所と書かれていた
そういえば、報告書が入っていた茶封筒にそんな名前が印字されていた。

「あなたの不倫調査をお願いしたときにアドバイスと共に私のことを支えてくれたの、仕事も探さなきゃと思っていたら事務所で雇ってくれたの」




「私の雇い主であり、そして私の恋人でもあるの」