有佳は日曜日も仕事だ、そういえば仕事内容は事務だと言っていたがどんな会社に勤めているんだろう、事務と経理と言う割には土日祝日も出勤だと言っているからサービス業の事務なんだろうか。

今は、聞けない

書斎だった部屋の前に立つ。
そっとドアノブに手を掛けて回してみるが引っかかってしまう。

鍵が掛っていた


「ははは・・・」
すっかり信用がなくなったな・・・

何もしたくなくてソファにもたれているとスマホが着信を知らせる。

はぁ、ため息をついてから電話にでる。

「賢也くん、今何をしていたの」

「何も」

「今からちょっとだけ会えない?」

「支払ったら二人で会うのは構わないということだろ、それまではちゃんと約束は守ろう。タダでさえオレ達は不利なんだ。連絡を取り合っていることが知られるとよくないから、慎重に行動をしてくれ。明日は振り込みをしたら連絡するよ」

「わかった、愛してる」


通話を切ると脱力してソファに沈み込んだ。

疲れる・・・・

とりあえず、明日の100万は用意できるがオレの分の200万は実家に頼むしか無い。
なんて言って借りよう、まさかオレの浮気でとは言いにくい・・・
かといって、上手い嘘がつけるだろうか、変なことを言ってしまえば有佳に対して両親が悪い印象を持ってしまう。

有佳に内緒の投資に失敗したと言うしか無い・・・・

スマホを手に持って実家の連絡先をタップしようとしたところで指を止める。

電話で済ますことじゃないよな・・・
明日の話し合いの後、両親に会いに行こう。



有佳が帰宅すると普段通りに夕食を食べる、仕事の事を聞いていいのか分らず当たり障りの無い会話で時間を消費する。
食事が終われば有佳は自分の城に籠もってしまうだろう。
そうさせているのはオレなのだから・・・

大森さんは本当に振り込みをしてくれるだろうか


まずそこが上手くいかなければ
もう二度と話し合いには応じてくれないだろう
それだけはなんとか阻止したい