OL 万千湖さんのささやかなる野望

「私、雁夜課長となんて、緊張して一緒に暮らせませんっ」

 そう万千湖は訴えてくる。

「……それはそれでどうなんだ」

 俺とじゃ緊張しないのか。

 それは、いいことなのか? 悪いことなのか? と思っているうちに、雁夜が言った。

「駿佑。
 カラオケで勝負だ!」

 何故っ!? という顔を万千湖と二人する。

「『涙のショコラティエ』で高得点を出した方の勝ちだ」

 こいつ、『太陽と海』の曲は歌いこんでいるはずだ。
 勝てそうにない、と思った駿佑は訊いてみた。

「雁夜……。
 それ、お前と競うんじゃなくて、俺が白雪より高得点だったら勝ちっていうのでどうだ?」

 この時点で、元アイドル、マチカに対してかなり失礼ではあったのだが。

 長年のファンの言葉はもっと辛辣だった。

「それだと駿佑の勝ちに決まってるじゃないか」

 万千湖は駿佑の腕をつかんだまま、

 課長……。
 本当に私のファンなんですか……? という顔で雁夜を見ていた。