OL 万千湖さんのささやかなる野望

「昨日、家の中になにかが!
 と思ったら、まつぼっくりだったんですよ~」
という不思議な話を聞いているうちに、意外と近かった展示場に着いていた。

 すでに駐車場はいっぱいだ。

 先着何名様にプレゼント、とか書いてあったから、それでだろう。

「ありがとうございました」
 礼を言いながら降りようとした万千湖だったが、

「はっ、シラユキッ」
と後部座席を見て驚く。

 助手席の真後ろに、ちょこんとシラユキが座っているのに気づいたようだ。

「車に乗せてくださってるんですね」

 ありがとうございます、と礼を言われた。

「うちのカチョウは今、おうちで留守番してますよ。

 お日様に当てるとふかふかして、いい匂いなんで、たまに窓辺に立たせてるんですけど。

 この間、うっかりそのまま窓辺に立たせてて。

 戸締りするとき、スマホ見ながら、カーテンの開け閉めしてたら、カチョウの頭にカーテンがひっかかって、ちゃんと閉まってなかったみたいなんですよね。

 近所の人が深夜のランニング中に、ふっと顔上げたら。

 窓際に置いているモザイクガラスのソーラーライトの灯りに、カーテンの隙間から覗くペンギンが照らし出されてて、すごく怖かったそうです」

「……泥棒もそんな部屋入らないだろうから、防犯に役立ってそうでなによりだ」

 そう言いながら、ふたりでイベントに行き、モデルハウスのアンケートにお答えした。

 どうせ当たらないだろうし、と思いながら、なんとなく『モデルハウス一棟丸ごとお譲りいたします』のところの『希望します』に丸をする。