優秀な君が、ちゃんと戻りたいと思える場所にしたかった。
君を受け入れるのにふさわしい自分になりたかった。
そんな自分のエゴが、雨音をここまで苦しめるとは思ってなかった。

「雨音、こんなこと……今更かもしれないけど」
「はい」
「ちゃんと元気になったら、もう1度僕の仕事を支えてくれないかな?」
「……はい!」

今度は雨音の方から僕にキスをしてきた。
雨音からのキスは、ちょんっと羽のように軽いもので、雨音の性格を表していると思った。
可愛いと思った。
この笑顔を、今度こそ守りたいと思った。
愛し続けたいと、心から思った。

だからこそ。
1つ雨音に確認したいことがあった。

「雨音にとって、僕は……社長なの?」
「え?」
「僕にとって、雨音は大切な彼女で……奥さんだよ」
「しゃ、社長?」
「僕は……ずっと君の社長でいないといけないのかな?」
「……どういうことですか?」
「社長じゃない僕は、君のために何ができる?」

僕は、どうも彼女の中に社長としての顔以外の僕をちゃんと埋め込まないといけないんだろうな……と、確信した。
その最初の作戦として、僕は戸惑う雨音を抱き上げて、ベッドへ連れていった。

「社長!体調悪いんじゃ」
「陽太だよ。雨音。良い加減ちゃんと僕の名前呼ぼうね」

そう言うと同時に、僕は雨音の服を1枚ずつ丁寧に脱がせていった。