「私……社長が私のことを必要としてくれないことが嫌でした」
「違う。違うよ雨音。僕はね……君が僕を必要としなくなることが怖かったんだ」
「嘘……」
「嘘じゃない。僕はだらしがない人間で、いつも君に迷惑かけてばかりだ。だからいつか、君が、僕を捨てる日がくるんじゃないかって、考えてた」
「そんなことない!絶対ない!社長、どうして私のことを信じてくれないの!?」
「君を信じていないんじゃないよ。僕が僕を信じられなかったんだ。……君に愛してもらえる男だと……」
「そんなこと言わないでください……私ちゃんと、社長のことが大好きで……仕方がないんです」
「どうして?どうして君はそこまで、僕のことを好きでいてくれるの?」
「そんなの知りませんよ!」

雨音は、僕の胸を拳骨で叩き出した。

「整理整頓は下手だし、給料振り込み忘れるし、私いっつも迷惑かけられっぱなしだったのに……」
「ご、ごめん……」
「でも、たまにかけてくれる言葉が嬉しくて、必要とされることが、嬉しくて……社長の側で、私がすることで社長が笑顔になってくれることが、とても嬉しくて……だから……」

雨音がそこまで言うと、もう1度僕に抱きついてこう言った。

「私、また……社長を助けたい……!社長のために何もできない私なんて、もう嫌なんです……!」