「雨音……？」
「よかった……気がついて……」

雨音によると、僕はオフィスでうつ伏せになって倒れていたらしい。
スマホで連絡が取れないと心配になった雨音が、僕を探しにオフィスまで来てくれたとのことだった。
倒れた原因は過労。
よく聞く話ではあるが、自分とは縁がないことだと思っていた。
僕がそういうと、雨音は呆れたように僕を見ながら

「朝になったら、家に帰れますよ」

と教えてくれた。

「そっか……」

僕はそうい言いながら、枕に頭を沈めると、あっという間に眠気が襲ってきた。

「おやすみなさい」

雨音の優しい声を最後に、僕はまた夢に落ちた。
手のひらに、彼女の柔らかい温もりを感じながら。