並んでいる屋台を抜け社務所の横を覗くと、目当ての返納所を見つけた。
お祭りの音がわずかに遠ざかって聞こえる、神社の一角。
まるで小さな神社のような形をした返納所は高さ二メートルほどで、幅も同じくらいの、こじんまりとした造りをしていた。
賑やかな音は聞こえるのに、ここだけ空気が違うような気分だった。
お金を納めて、バッグからお守りを取り出し、ギュッと握ってから返納する。
手を合わせて「ありがとうございました」と声に出すと、なんだかスッキリした気持ちになった。
ずっと返さなければとは思っていたから、それを遂行できてホッとしたのかもしれない。
とはいえ、随分長い間持ってしまっていたのはたしかなので、心のなかでそこについては謝る。
神様、ボロボロになるまで頼りにしてしまって申し訳ありません……と手を合わせ終わったとき、隣で黙って見ていた上条さんが「少し待ってろ」と言い、背中を向ける。
「あ、はい」
仕事の電話とかかな、と深くは考えずに返納所の木箱の一番上にある私のお守りを眺めていると、しばらくして戻ってきた上条さんが私に白い紙袋を差し出した。
ここの神社の名前が朱色で印字されている、手のひらサイズの薄い紙袋。不思議に思いながらも受け取った私に、上条さんが言う。



