「もっと、気軽に向き合った方がいいんだってことはわかってるんです。包み隠さないで向き合うのは相手だって疲れるし、なんとなく、くらいで付き合ってた方がいいんだって。友達にも〝重たすぎる〟ってよく言われますし。……でも、どうしてもダメで」
曖昧なままでいることができないのだと説明してから、上条さんを見つめた。
「なので、もちろん、無理なら無理で構いません。私が面倒くさいことを言っているのは自分でもよくわかってますし、上条さんがすごい立場の人で、女性にモテるってこともわかってますから。上条さんの言葉で終わらせてもらえるなら、それだけでラッキーだって思ってます」
笑顔で言った私を、上条さんは少しの間じっと見ていた。
その表情からは、面倒くささや呆れはうかがえなかったけれど、なんて返事をされるのかを思うと、〝無理なら構わない〟とは言ったものの、怖かった。
なにもこんなに早く答えを出すような真似をしなくてもいいと思うのに、そうできない自分に嫌気が差す。
なぁなぁで付き合っていけば、この先だって上条さんとは繋がりが持てたかもしれないのに……こんなの自分で自分の恋を潰したようなものだ。
でも。
体だけで繋がっている関係が、どれほど悲しくて虚しいものかをわかっているから……もう、あんなふうにボロボロになるのは嫌だから、仕方ない。
体の関係になってしまった今、しっかり私の気持ちを伝えておかないとまた……あのときの繰り返しになってしまうかもしれない。それだけは絶対に嫌だった。



