「もう、何年も一歩が踏み出せずにいたんです。でも、頑張ってみたいって今、確かに思えていて……その気持ちをこのままなかったことにはしたくないんです。恋したいって思っちゃったので、その交換条件はのめません」

私はもう一度上条さんに会いたい。
もう、気持ちは転がり始めている。

そう話すと、緑川さんはそれはもう面倒くさそうに顔を歪めた。