「あのぉ、突然すみません。おひとりですか?」
意識していた逆方向から声をかけられる。
振り向くと、俺の横に立つふたりの女性が視界に映った。
二十代前半の女性は、雰囲気からして学生というよりは社会人に見えた。
店の照明を受けてやたらとキラキラと輝くネックレスとピアスが目を引く。
そういえば、美波はこういったアクセサリーはほとんどつけないと考えていると、ふたり組のひとりが、俺の顔を覗き込むようにして笑みを浮かべた。
「実は、お店に入ってきた時からカッコいいなと思って見てて、ダメ元で声かけてみたんです。おひとりですか?」
「いや、待ち合わせだ。悪いが他をあたってくれ」
「あ、じゃあ、待ち合わせの方がくるまで一緒に飲みませんか?」
「いい。興味もない」
「えー、でも私たちはすごく興味あるんです。ね? 少しだけ」
ハッキリと伝えても引く気を見せない女性に眉を寄せる。
鮮やかすぎる口紅も、料理の邪魔をしそうなきつい香水も不快で、思わずその気持ちをそのまま口にしそうになった時。
「あれ、上条さんじゃないですか?」
男の声が割り込んできた。
声の主を確認して眉間のシワが深まったのは、そいつが美波の口からよく出る後藤だったからだ。
相変わらず軽薄そうな笑みを顔に張り付けている後藤は、俺に絡んでいた女性たちを見てすぐに現状を把握したらしい。



