高嶺の社長と恋の真似事―甘い一夜だけでは満たされない―



上条さんは途中で私を抱き上げベッドに移動した。
なので、体のどこかが痛いだとかそんなことはなかったのだけれど……自己嫌悪だとか情けなさだとか、主に自分自身への負の感情が頭の中を渦巻いていた。

簡単に服を身に着け、キッチンに立っていた上条さんがペットボトルを片手に戻ってくる。

そしてベッドに座ると、まだ横になったままの私にペットボトルを差し出した。

「水飲んでおけ」
「……はい」

喉が渇いていた自覚はあったので、上半身を起こしありがたく受け取る。
口をつけ数口飲んだあと、まだそこに座っている上条さんを見た。

「あの、流されておいて今更言うのもあれですけど」

やや責めるような口調になったからか、彼が私を見る。

「私、言ったじゃないですか。上条さんに触れられるのがまだ怖いって……いえ、怖いながらもそれ以上に嬉しかったり気持ちよかったりしたんですけど、でも総合的に言えばやっぱりまだちょっと怖いんです。今のところちゃんとできていても、次は怖くてダメかもしれないですし」
「そうか。わかった」

すんなりそんな返事がきて、目を見張る。

「……本当に?」

私からペットボトルを奪った上条さんは、ゴクゴクと喉を鳴らしてそれを飲んでからフタをしめた。