高嶺の社長と恋の真似事―甘い一夜だけでは満たされない―



上条さんの口から出た言葉に驚く。

〝今度上条さんとふたりで会ってきてもいいかな〟

桃ちゃんから送られてきたメッセージが頭に浮かび……動揺する。

私はてっきり桃ちゃんが上条さんに惹かれたから会うのだと、勘違いしていたけれど、本当は違ったんだ。

私のためだったんだ。
桃ちゃんはいつだって私の背中を押して元気づけてくれていた。なにもできなかったなんてことないし、それは私の方だ。

うつむいた私に、上条さんが続ける。

「佐々岡さんは、おまえの過去の恋愛を知っているから想いを返さない俺を見過ごせなかったんだろ。佐々岡さんからそう言われたときには、なんのことだかわからなかったから言葉の返しようがなかったが、おまえが俺に過去を打ち明けたときに、彼女の危惧していたことを理解して納得した」

ワンテンポ置いてから「美波」と名前を呼ばれる。

そういえばいつの間にか上条さんが私を当たり前に名前で呼ぶようになっていることに今更気付いてドキッとした。