高嶺の社長と恋の真似事―甘い一夜だけでは満たされない―



「じゃあ、お仕事はレストランのオーナーをされてるってことなんですね」

すごいですね、というニュアンスで言う。
上条さんは「まぁ、そうだな」と一度うなずいてから続けた。

「あとはカフェ関係と、不動産関係だな」
「カフェと不動産……」

涼しい顔で言う上条さんに、いったいこの人はどれだけの成功者なんだと息を呑む。
お店なんて、ひとつの店舗を黒字経営するだけでも難しいと聞くのに、レストランだけにとどまらずカフェまで……。

不動産についてはきっと聞いたところでわからないので、ただ茫然としたまま「すごいですね……」と返したところで料理が運ばれてきた。

「本日は試食会にご出席いただきありがとうございます。本日のメニューはコース料理となっておりますので、なにかお気づきの点等ございましたらなんなりとご意見いただければ幸いです」

スタッフのそんな言葉から始まった食事は、フレンチのコース料理だった。
季節の海の幸のテリーヌや冷製スープ、メインに出てきた黒毛和牛とフォアグラのステーキもとても美味しくて、どれも初めて食べるようなものだったから新鮮でもある。

最初は、マナーだとかが気になって上条さんに倣うように食事を進めていたのだけれど、あまりの美味しさに、そのうちにそんなことは気にならなくなっていた。