「私、ショックでそれから一時間近くぐずぐず泣いてました。ファミレスだったし、はたから見たら戸川が泣かせていると思われる状況なのに、戸川は人の目なんて気にしないで、向かいの席に座ったまま黙ってずっと窓の外を眺めてました。その横顔が寂しそうに見えて、ああ、この人も彼女が大好きだったんだろうなって勝手に思いました」
大学から少し離れた、西日の差す窓際の席。
戸川が彼女とどんな関係を築いてきたのかなんて何も知らないけれど、負った傷は同じだと思った。
泣き止んだ私に気付いた戸川が『お互い、苦しいな』とやっとといった笑顔を浮かべたのは、まだ忘れられない。
「だから、傷を舐め合うような関係からスタートしたんです。お互いに、突然失ったものを埋めるためっていうか。ひとりでいるよりも、戸川と一緒にいた方が楽だったんです。言葉にしなくても、不安とか苦しさを共有できるみたいで……安心してたんです」
「一緒にいただけか?」
単刀直入に聞かれる。
体の関係はなかったのかという意味合いの問いに、苦笑いを浮かべて……首を横に振った。



