ローテーブルにアイスコーヒーが入ったグラスをふたつ置いた上条さんが、隣に座る。
……無言の圧がすごい。
L字型の大きなソファだし、なんならひとり掛けの独立したソファも置いてあるのに私の隣に腰掛けられ、いよいよ逃げられないと思い、私から口を開いた。
「さっきの……戸川の件ですけど」
上条さんにすぐに「ああ」と返され、覚悟を決めて話し出す。
「大学二年の頃、顔も知らなかった戸川に話しかけられたんです。〝高坂の彼氏、俺の彼女と浮気してるみたいなんだよね〟って。びっくりしました。私は浮気なんて疑っていなかったから。でも、戸川が見せてくれた携帯には、ふたりが浮気している証拠がたくさんあって、認めるほかなかった」
大学二年の春だった。
高校の頃から付き合っていた同い年の彼氏と同じ大学に進学して、仲良くやっているつもりだったから、浮気の証拠写真を見せられたときには言葉も出なかった。
私に好きだと言いながら、裏では平気な顔をして他の女の子と過ごしていたのだと思うと眩暈がするほどの衝撃を受けた。
戸川から見せられた紛れもない証拠を前に、私の中で浮気が確定した瞬間、元カレとのすべての思い出が汚れていくのを感じた。



