「好きな相手と友達ふたりきりで会わせるなんて馬鹿だなぁ。敵に塩送ってどうするんだよ。しかもその〝桃ちゃん〟って高坂よりも諸々の条件がいいんだろ? そんなのもう応援してるも同然じゃん」
いつかも来た焼き鳥屋さんで食事を済ませたあと、後藤が連れてきてくれたのはしっとりとした雰囲気のバーだった。
元気のない私を後藤なりに励ましてくれようとしているのがわかり、少し嬉しかったのだけれど……。
歯に衣着せぬ物言いに、落ち込む。
まるで私の周りの重力だけ倍になったように体も気も重い。
「だって仕方ないでしょ。私にダメなんて言う権利ないもん」
「いや、まぁそうなんだけど……そもそも高坂って本当に上条さんを好きなのか?」
「え?」
不思議そうな顔をした後藤が私をまじまじと見て言う。
「好きだったら、権利とか言ってられなくなるもんじゃねぇの? 高坂って積極的な割に〝でも触らないで〟とか、矛盾してるとこがあるんだよな。本当に上条さんと付き合いたいと思ってるのか?ってたまに思う」
後藤の言葉に思わず黙る。
上条さんを好きなのは本当だ。
〝触らないで〟って言ったのは、私だけの気持ちしかない状態で触れられるのが虚しいからで……上条さんが想いを返してくれるなら、全然……。
付き合いたいかなんて、そんなの……と煮え切らない自分を感じて戸惑い考え込んでいると、後藤が「それにしても」と話題を変える。
聞いたくせに、私の答えはどうでもいいようだった。



