「シャワー浴びてくる」

「じゃあ、俺も」

「え?」

「夫婦なんだから」

そんなことを言って結局バスルームでもさんざん鳴かされた。

ベッドルームに戻ると倒れ込むようにベッドにダイブした。

「もう、信じられない」

「どうして?愛する妻を抱きたいと思うのは普通のことだろ」

「愛するって」

普段は広いベッドの両端で寝ているのに、中央で海の腕の中にすっぽりと抱きしめられている。

「正直に言うとお見合いの時は、変わった人だと思って興味があっただけだったんだ。でも、付き合って、そして一緒に住んでどんどん奈緒が好きになってる」

でも1番は弥生でしょって言う言葉が喉元まで出てくるのを必死に抑える。

「そうなの?単に、海の周りにはいない庶民で珍しいからじゃない?」

「どうかな?でも、結婚指輪は付けてくれないのに明らかに元彼からのプレゼントを身につけられて嫉妬するくらい好きだよ。でも、奈緒に同じだけの感情を返してくれとは今は言えないけど、いつか俺を愛してるって言ってくれるといいなと思ってる」

気づいてたんだ。でも、言い訳とかもしたくない。

「私は十分楽しいわよ」

「うん、今はそれでもいいよ」

結局、朝目が覚めるまで海の腕の中にいた