「なにを・・・して・・・るの・・・」
頭がぼんやりする。

目の前の状況が理解できない。

「奈緒・・・」
女に覆い被さって腰を振っていた男がこちらを振り返る。
顔がよくわからない


「あ〜あ、バレちゃった。海(かい)くん薬の量が足りなかったんじゃないの?」

くすり?

何のくすり?

「もう、あと少しでイケたのに。奈緒ちゃんあなたもう退場してもいいわ、匠の保険金も入るし慰謝料をたっぷりと弾んであげる」
男の方はズボンに足を入れ、シャツを羽織るが慌てている為かうまく腕が袖を通らないようだ。
女はダルそうに裸のまま永遠の元に歩いていくと顔を覗き込んでいる。

「ほーんと、海くんにそっくり」

「弥生さん」
男が女の名前を呼ぶ。

「海くんは黙っていて」

弥生・・・義母に制された夫はボタンも留めずに力なく情事をしていたソファに座っている。

「どういう・・・こと?」

弥生は永遠の頭を撫でながら
「ご覧の通りよ、海くんとはもう10年以上愛しあっているの。私は子供が産めない体だけどどうしても海くんとの子供が欲しくて、奈緒さんに産んでもらったの。だから、もう奈緒さんはいらないわ」

40歳とは思えないほど均整のとれた身体を隠すことなく裸のまま永遠を抱き上げるとまるで自分がお腹を痛めて産んだように愛おしそうにあやし始めた。

海智さんはずっと下を向いている。

「海智さん・・・っどういうこと?」

海智さんは唇を噛み私とは視線を合わせない。




わからない




わからない










今、何が起きているのかわからない。