後は、親父に知られたくなくてあの人に言われるまま抱いていた。
家の建て替えの時に、親父が俺が結婚した場合を考えて分離型の二世帯住宅を建てるといいだして、俺に一人で住むようにと話をしてきたときにチャンスだと思った。
ところが、あの人があの扉をつけることに固執したんだ。
あの扉によって、分離型といっても繋がっていることと同じになり、勝手に家に入ってきては言われるがまま抱き続けた。

ある時、あの人が子供が欲しいと言い出した。
自分では産めないから、大人しくて騒ぎ立てることのなさそうな女性と結婚して子供を作りあとはある程度のお金を渡して追い出せばいいと言い出した。さすがに、一度も結婚をしないのは世間体もあることだし、それでもいいと思った。
あの人には逆らえないのだから。

神山に大人しくて見栄えのする子が居たら紹介てくれと伝えた数日後、奈緒との見合いが決まった。


でも実際、見合いをした奈緒はとても大人しいとは言えなかったが、強烈に惹かれた。
二人が巡り会うことが決まっていたかのような、一緒にいるべき人なのだと強く感じたんだ。

でも、あの日

この記憶に重なる何かを感じるようになった。


夢の中の奈緒は、お見合いの日に自分の意見など言わず、ただ微笑みながら頷いている。
結婚前からこの家に一緒に過ごし始め、結婚した後も、何かを自分から言うことはなかった。
それでも、家庭をよく守ってくれて子供を永遠を産んでくれた。


永遠・・・・あの日、寝言で言ったのはやはり永遠のことだったんだ。


永遠が生まれると、あの人はどんどん大胆になっていき怖かった、三人の生活はとても穏やかで優しい日びだったから。壊したくなかった。


「そんなことを言って、薬を盛って享楽にふけっていたんでしょ」


薬を飲ませていてはダメだと分かっていた。
だけど、それ以上に薬を飲ませないとこの三人の生活が壊れることが怖かった。

あの日が来るまで、こんな歪な状態でも三人の生活は続くと思っていたんだ。




「永遠はどうなったの?」