わざわざ健康な足があるのに、それをロープで縛って、どうにか移動できたことを喜ぶような、お粗末で物好きとしか言えない遊び。
私は、魔法が全てじゃないと教えてくれるようなその手品が好きなのだけど。
「馬鹿らしいと思うか?」
「ううん。私も、手品を見るのは好き」
「……そうか。そういえば、そんなことも言っていたな」
來樺院獅紋と役割を交代して、今度は私が魔力操作を始める。
「嫌いな食べ物は人参……だったか。そこも、李璃と同じだな」
背後から聞こえる來樺院獅紋の声は、独り言のような声量だった。
白蓬李璃と共通点が多いのは、幸か不幸か。
彼が私に興味を持ち続けてくれたら、任務が遂行しやすいのは確かだ。



