白の姫に差し伸べられた、光と闇の手



ぬるっと会話に入ってきた翠笑(すいしょう)は、ニコニコと笑いながら音魔法を使う。

魔力反応と共に教室内のざわめきが消えて、周りがしーんと静かになった。




「こっちの音遮断しようとすると周りの音も遮断しちゃうんだけど、別にいいよね? それじゃあ教えてください、港泰くん」


「お前も聞くのかよ……」




普段は特定の音のみを消したり、響かせたりしているから、翠笑の自己申告は真っ赤な嘘だ。

あえて魔法の質を落としているのは、周りに合わせる為だろう。


芹羽港泰は溜息を吐いて、仕方ないな、とばかりに口を開く。




「白蓬李璃が失踪したのは今から9年前。当時は6歳だ。白蓬家は医療界隈で活躍する一流名家だったんだが、梅雨の時期に当主夫妻が殺されて、唯一の娘も姿を消した」


「……殺された?」