「氷霞は素直ないい子だな。ご褒美をやろう」
私達の前で足を止めたボスは、私の頭を撫でて切り揃えた前髪にキスをした。
ボスのご褒美は形に残らないものが多いけど、それだけで今までの全てが報われて、もっともっとボスの役に立とうと思える。
「あー、ハイハイ。僕が悪うございました。でもさ~、実際他に用件あるんでしょ?」
「……新しい任務?」
笑いながら尋ねる翠笑を見て、私も推測する。
確かに、ここ数年はボスと顔を合わせる機会なんてほとんど無く、メールで任務を伝えられるだけだった。
ボスが会いに来るのは、特別な用事がある時だけ。
私達の視線を受けたボスは、口元に笑みを浮かべて答える。
「そうだ。氷霞に大事な仕事を任せる。翠笑は氷霞をサポートするように」
「大事な仕事ね~……了解」
「分かった。頑張る」



