「白蓬李璃のことも知りたい。間違えられたから、興味がある」
芹羽港泰の言葉の意味は分かっているけど、あえてとぼけて誤魔化した。
転校生の私がそんなことを聞く理由なんて、どう繕っても不自然極まりない。
たまにはごり押しも必要だ。
芹羽港泰は物言いたげな顔をして、溜息を吐きながらも律儀に答えてくれる。
「あぁもう、分かったよ。教えてやるから、そっちも相応の情報を出せ」
「情報って?」
「黒塚の個人情報。ひとまずはそれでいい。転校生の注目度は高いからな」
ニヤッと笑う顔は、裏の算段を隠さないからか、何故か気持ちよく感じる。
どろどろした悪意が無いというか、開き直っているのがいっそ清々しいというか。
少なくとも、今のところ付き合っていて不快感を抱く相手では無い。
情報通のようだから、芹羽港泰には他の殺し屋の炙り出しにこれからも協力してもらおう。
もちろん間接的に。