これは任務。
生徒に溶け込むための演技。
友達の振りをするだけだから。
私はこっそり深呼吸をして、心を落ち着かせた。
「お礼なら……質問に答えてくれたら、それでいい」
「質問、ですか? ……なんでしょう?」
「……最近、学園内で人の入れ替わりとか、獅紋の周りで変わったこととか、なかった?」
もう1人の殺し屋についての手がかりが得られないか。
そんな思惑でした質問に、胡桃は考える素振りをして、顔を曇らせる。
「申し訳ありません。わたしの知る限りでは、特に……学園内のことについては、港泰さまにお聞きするのがよろしいかと思います」
「港泰に?」
「はい。港泰さまは社交的で、そういったことにお詳しいので……」
「分かった。聞いてみる」
頷いて話がつくと、休み時間も終わりに近付いてきたので、胡桃と教室に戻った。



