類家胡桃は落ち着いて微笑む。
何だか、胸のあたりが妙な感覚だ。
私が、守られる?
一般人で、人が死ぬところなど見たことも無さそうな類家胡桃に?
黙り込んでいる私に何を思ったのか、類家胡桃は眉を下げて、おどおどと言葉を足した。
「そ、その、余計なお世話でしょうか……? 瑠璃さまに何かお礼をしたくて……それに、その、お友達になれたら、と……」
「……友達?」
「ごっ、ごめんなさい! 出過ぎたことを申しました!」
先程の凛とした姿が錯覚だったかのように、彼女はおろおろとし出す。
友達。
……友達。
「……謝る必要は無い。その……嫌なわけじゃ、無いから」
「へ……? 瑠璃、さま……?」
“胡桃”から目を逸らして、頬の横あたりの髪を人差し指で握るように梳いた。
変に高揚しているような、落ち着かない気分だ。



