こい……恋。
婚約者とはつまり、将来結婚する相手がいるということで、恋愛の目的は結婚することだから……なるほど。
彼女達には未来が無いということか。
類家胡桃の言葉に思考が追いついて、一息吐く。
「そう……分かった。でも、どうして胡桃に悪意が向くの? 港泰は分かるけど、獅紋の婚約者は白蓬李璃でしょ?」
「えぇ、その通りです。ですが白蓬李璃様はずっと行方知れずですし……現状、來樺院さんに一番近しい女生徒をあげるなら、わたし、でしょうから……」
目を伏せて説明する類家胡桃を見て、ふむと考えた。
來樺院獅紋に恋情を抱く者は、嫉妬の捌け口がいないから、類家胡桃を代わりにしている、ということなのだろう。
類家胡桃には婚約者がいるのに。



