白の姫に差し伸べられた、光と闇の手



褐色の肌、赤茶色のウェーブヘアに顎髭。

黒いシルクハットを被り、黒いスーツを着て、黒いサングラスをかけた40代前後の男性。


あれは千に化ける殺し屋、千化(せんか)の基本の姿だ。




「ボス。任務は完了した」


「あー、助かった……会いに来るなんて珍しいね~」




吹雪を止めて立ち上がると、後ろで翠笑(すいしょう)も立ち上がる気配がした。

ボスは部屋の惨状を眺めながら、こちらに向かって歩いて来る。




「あぁ。可愛い子供達の顔が見たくなってな」


「うわー、嘘くさ」


「そんなことない。穿って見過ぎ」


「アハハ、ソウダネー」




私はボスに拾われた孤児だ。

親の愛を知らなかった私を、ボスは親代わりとなって愛し、ここまで育ててくれた。


5年前に殺し屋となったのは、ボスに恩返しをする為。

翠笑も、私と似たような境遇だと聞いている。