白の姫に差し伸べられた、光と闇の手



チラ、と來樺院獅紋を見ると、翠笑が一緒にいるようなので、注意を向けなくても問題無いと判断し、頷いて答える。




「よかった……あ、その、教室では少し話しづらくて……談話室に移動してもよろしいですか?」


「うん」




談話室は生徒同士が交流、または息抜きをする為に作られたという学園の施設だ。

本来は事前に予約をしておく必要があるようだけど、Sクラスは自由に出入りできる。


念の為、翠笑にアイコンタクトを送ってから類家胡桃と教室を出ると、同じ階にある少人数用の談話室に入り、他の人が入って来れないようにロックをかけた。

もちろん、入室も施錠も、扉のカードリーダーに学生証をかざして操作している。




「話って何?」


「あの、先程はお礼を言えなかったので……今朝はありがとうございました。わたしの事情に巻き込んでしまって、申し訳ありません」