白の姫に差し伸べられた、光と闇の手



類家胡桃はホッとしている様子だから、ここは気付かなかった振りをしよう。




「胡桃。ネクタイ、勝手に出してごめん」


「あ、いえ。すぐ直せますから、お気になさらず」




その言葉通り、類家胡桃はさっとネクタイを直し、せっかくだから、と私達は4人で登校することになった。

4人中2人は自分から喋らず、1人は周りの顔色を伺っているので、主に会話をするのは翠笑と類家胡桃だ。


私もせっかくだから來樺院獅紋に話しかけようと思ったのだけど、私自身話題は豊富じゃないし、來樺院獅紋は会話をすぐ終わらせる才能があったので結果は惨敗。

後で翠笑から初対面でも盛り上がる話題を聞こう、と密かに決意した。




「あの、黒塚さん。少しお時間をいただけませんか?」




何事もなく教室に着き、1時間目の授業を終えた後、類家胡桃が私の席に来てそんなことを言った。